FRACTAは、当社が全国の自治体・水道事業者に向けて提供している環境ビッグデータ&AIを用いた水道管路劣化診断技術で、全国の水道管の破裂や漏水事故が起きる確率(=破損リスク)を算出しました。これはあくまでも、水道管にとっての環境リスクを示すのものであり、いずれの自治体も平均的な同じ水道管を使用していると仮定しています。
FRACTA では、⽶国を中⼼に日米欧5 か国の128事業体において、延⻑約30万km 、60万件以上の破損漏⽔事故を学習しています。⽇本だけでも38事業体に導入いただき、約6.6万km 、2.4万件以上の破損事故のパターンを学習済みです(2023年1月末現在)。事故が起きるパターンを学んだAIが、メッシュ(100m四方で区切ったエリア)ごとに異なる地盤や気象条件、利用状況、交通事情といった水道管を取り巻く1千以上の環境変数を考慮し、1年以内に1か所以上で水道管破損事故が起きる確率=破損リスクとして算出。データが不十分な離島などがある沖縄県や、小規模で比べるのが難しい自治体などを除く1355の自治体を対象に推計しています。
推計結果として、水道管の劣化が進みやすい環境の都道府県第1位は高知県で、次いで愛媛県、徳島県、香川県が入り、水道管破損リスクの高い地域が四国に集中。風光明媚で自然に恵まれた環境も多い四国地域が、水道管の劣化が最も進みやすい環境との結果になりました。
水道管の劣化に影響を及ぼす環境要因は、複数要素が絡みますが、今回の試算においては、①土壌の成分、②標高・傾斜などの土地の特徴、③建物密集度等による水の使われ方による差異、④道路の入り組み方による水の流れ方の差異などが、大きく影響を及ぼしていると思われます。今回の結果について、数値が高いからといってただちに危険というわけでは必ずしもありません。実際には新しい管路もあれば古い管路もあり、維持管理がしっかりしていれば、事故に至るケースは極めて少ないと思われます。大事なのは、リスクが高い地域をいかに見極めるかであり、今回算出した水道管破損率が水道管の傷みやすい地域かどうかを調べる上で一つの判断材料になれば幸いです。